あゆみ

 「もしよかったら、軒先にお雛様を飾っていただけませんか?」数軒のお宅に声をかけたのが13年前。あの時、町の方達もこのお雛まつりが勝山を代表する大きなイベントになろうとは夢にも思わなかった事でしょう。
 回を重ねる毎に大勢のお客様で賑わうようになり、「町全体をどなたかプロデュースしているの?」「ここまで盛大な行事になったのは何故?」こんな声も聞かれる様になりました。
 初回のポスターは土雛を川原で写真に撮り拡大コピーするという素朴なものでした。その後も勝山のお雛まつりにふさわしい、ほのぼのと温かいものをと考え続けてきました。手作りの縮緬人形、代々伝わるお雛さま——みなさん快く貸してくださいました。
 節分も過ぎ、まだ春には遠い頃、町のあちらこちらでお雛まつりの準備が始まります。竹を切り、花を用意し、御近所同士でアドバイスし合ったり…「学園祭の前みたいだね」勝山が大好きな娘が言いました。準備は大変ですが暗くなっても笑い声が響きます。毎年商工会女性部の指導のもとにみなさんが作られる人形や保育園児の折り紙人形も定番になりました。自分達がゆっくり楽しみたいと始まった前夜祭は 燭のやさしい灯が昼間とは趣きの違った町並を楽しませてくれます。
 勝山の人達は創意工夫し表現する力を持っています。自由に演出し何よりもその楽しみ方を知っているのではないでしょうか。
 県内外から訪れる方々も、ここに暮らし、おもてなしする事を心から楽しんでいるこの土地の人達と一緒に春の一日を過ごしに来てください。
                                          実行委員 栗田孝子